特別支援教育「生活について考えよう~タブレット端末との向き合い方編~」
福島県立あぶくま支援学校高等部にて、MESHを取り入れた生活単元学習を実施。MESHを活用して授業を実践された小川先生に、実施背景や授業展開について伺いました。
- 学校名 :福島県立あぶくま支援学校高等部
- ご担当先生 :小川 隆博 先生
- 対象生徒 :知的障がいのある高校1年生 8名。中学校時代にScratch Jr. を使った簡単なプログラミング経験がある。
- 実施時間:生活単元学習11時間
- 使用端末 :MESHアドバンスセット×2セット(デモ機をご活用)
今回は教育関係者向けのデモ機貸し出しサービスをご活用いただきました!
MESH - 教育関係者向けお貸し出し (meshprj.com)
本授業の狙いは?MESHを授業に採用したきっかけは?授業の流れ・様子全体の流れ1-3時限 Myタブレットの使い方を考えよう4-7時限 MESHを使ってじゃんけん装置を作ろう8-10時限 プログラミングを活用して生活課題を改善しよう11時限 学習したことを振り返ろう作品例電気のつけ忘れ防止装置衣類の調節装置今回授業でMESHを使用してみた感想は?参考
本授業の狙いは?
「日常生活で改善したいことの実現のために、プログラミングの考え方を使って、その方法について考えたり、整理したりすることを目標としていました。また、グループで授業に取り組み、学びに向かう力や人間性を高めることもねらいとしていました。」
MESHを授業に採用したきっかけは?
「普段は社会の教員をしていますが、以前からIoTやプログラミングには以前から興味がありました。そこでプログラミングを取り入れた授業をしてみたい!と思い、事例を探していたところ、他校でMESHを使っている事例を見つけ、活用してみることにしました。」
授業の流れ・様子
全体の流れ
時数 | 内容 |
1-3 | ・Myタブレットの使い方を考えよう |
4-7 | ・MESHをつかってじゃんけん装置を作ろう |
8-10 | ・プログラミングを活用して生活課題を改善しよう |
11 | ・学習したことを振り返ろう |
1-3時限 Myタブレットの使い方を考えよう
まずは、「第4次産業革命」や「Society5.0」の考え方について知ったり、税金の使われ方について考えたり、またIoT(モノのインターネット化)が進む現代を生きる私たちにとって求められていることについて考えることで、自分たちを取り巻く環境や危険について理解を深めました。
そのうえで学校で決められているルールを知り、それをもとに学級内ルール、自分自身のルールを考え、タブレットを使う上でのルールを学びました。
4-7時限 MESHを使ってじゃんけん装置を作ろう
4時限目からMESHを活用したプログラミング学習を行いました。まずは基本的なMESHブロックの機能について知るため、じゃんけん装置を作りました。実際に作った装置で対戦を行いながら、イメージ通りの動きをしたか?もし動いていない場合は、どのようにプログラミングの改善ができるか?についてグループで考えました。
8-10時限 プログラミングを活用して生活課題を改善しよう
基本的なMESHの使い方を学んだあとは、「よりよい学級にするためのプログラミング」を考えました。
現状の分析・課題の設定(グループワーク)
日常生活の中でのちょっとしたお困りごと、改善したいことを考えました。
プログラミング内容の検討(個人)
まずは個人で、MESHを使ってどのように設定した課題を解決するのか?を検討しました。
プログラミングの実施(グループワーク)
その後、互いに考えたアイデアを持ち寄り、実際にプログラミングを行いながら、グループ内で最善のプログラミングを検討しました。意図した動きになるまで試行錯誤を繰り返すことを大切にしました。
小川先生が指導の際に「プログラミングの考え方」として重視していた3つのポイントをお伺いしました!
①より単純に、確実に、動作するような手順を探ること
②目的(ゴール)のために選択肢を検討し、それぞれの選択肢を選ぶとどのような結果が得られるのかを検討すること
③1つ1つの選択肢の結果の積み重ねがゴールへとつながることを理解すること
11時限 学習したことを振り返ろう
最後に学習全体を通して学んだことや、考えたことを文章にまとめました。
作品例
電気のつけ忘れ防止装置
当初は動きブロックを活用し、扉の開閉による振動を検知して、サウンド(スピーカー)が流れるようにしようと考えていました。しかし、誤作動が起きてしまうことがあったため、授業と授業の間の時間を指定して、時間内の動作のみ反応するように検討していました。また、明るさブロックを活用し、暗い時にサウンドが出るしくみについても検討していました。結果としては、動きブロックではなく、時間になったら自分たちで録音したサウンドでお知らせするしくみをつくり、電気のつけ忘れ防止装置を作ることができました。
衣類の調節装置
当初はインターネットより、天気情報を取得し、予測された気温から、適切な衣類(「今日は暑いので半袖がいいよ」「今日は寒いので長袖が良いよ」「今日はとても寒いので、上着を着よう!」)をサウンドでお知らせするしくみを考えていましたが、外気と内気の温度差があることに気づき、温度・湿度ブロックを活用する流れとなりました。動きブロックを活用したり、決められた時間になると動作するしくみなど様々に検討する中で、人感ブロックが反応すると、温度・湿度にあわせてサウンドが流れるようなしくみを作りました。
今回授業でMESHを使用してみた感想は?
「学校の生徒たちは、中学校時代にScratch Jr. などでプログラミング学習をしている経験がありましたが、身の回りの具体的ななにかを動作させる経験は今回が初めてでした。生徒たちには、MESHを通して日常生活でもプログラミングが役立つものであることを理解してもらえたと思います。
また、自分自身も社会の教員であるため、ほとんど初めてのプログラミングでしたが、このようにプログラミング学習を授業に取り入れることができました。プログラミング経験がない方でも気軽に扱えることが実感でき、大変よかったです。」