特別支援教育「プログラミングでメダカおなかいっぱい」

MESHを取り入れた探求型の学習を実践された東京都立八王子南特別支援学校の辻村洋平先生に、実施背景や授業展開について伺いました。
 
  • 実践者:東京都立八王子南特別支援学校 主幹教諭 辻村 洋平 先生
    • 実践校:東京都立八王子東特別支援学校
    • 現任校:東京都立八王子南特別支援学校
  • 対象 :[小学部] 自立活動を主とする課程 / [高等部] 準ずる課程
  • 教科 :[小学部] 生活、理科 / [高等部] 情報
 

本授業の狙いは?

プログラミング学習の蓄積からプログラミング的思考の醸成、探求型の学習題材の設定

高等部の生徒は、スクラッチベースのビジュアルプログラミング、ドローンやガジェットを動かすフィジカルプログラミング、Excel VBA等の学習を積み重ねてきていました。
しかしながら、論理的思考、プログラミング的思考のよさや理解については充分ではないため、身近な生活課題について、既知のプログラミングの知識で解決する題材を生徒たちが主体的に設定しました。
そこで、小学部児童の発案で、メダカの餌やりについての探究課題設定をしました。障害特性から自身では餌やりが困難なため、ICTで餌やりをするシステムの構築を目標としました。

MESHを採用したきっかけは?

スクラッチなどでプログラムを書くことにも取り組んでいましたが、プログラムを書くということにフォーカスしてしまうため、どうしても自分視点が強くなってしまうことが課題でした。
MESHはプログラミング自体が直感的なため、プログラムを書くことではなく、その結果どのような問題を解決するのか、という点に目を向けることができると考え、採用に至りました。

授業の流れ・様子

ツール

  • MESHブロック
  • iPad
  • MESH GPIOブロック用電子スイッチ
  • お酌パラダイス 釈お酌(スイッチユニット増設改造)
 

プログラムの設計、試行と挑戦

シミュレーションと実際の動作確認を繰り返すことで、改善するサイクルを確立。
 

検証

実際にMESHアプリでプログラムした内容の動作を確認。
ボタンを押して装置が動くことを確認する様子
 
実際に水槽に取り付けた装置を、人感センサーで動作させる様子

本授業の成果と課題は?

MESHでの餌やりは達成できました。試行と挑戦を繰り返すことで、誰が見ても明瞭で分かりやすくする、できるだけ最小ブロック数で構築しようとするといった、プログラミング的思考の資質・能力を向上させているものと考えられます。その後も、本学習題材を発展させた新しい課題の発見を進んで行おうとするなど、主体性や学びに向かおうとする姿勢や意識の醸成にもつながったものと実感しています。
直接的な体験や経験の少ない児童や生徒にとって、まずは直接体験を大切にしたいのですけれども、どうしてもそれがかなわなかったり、ICTを使うことでさらにその効果を高めたりすることができるのであれば、個別最適な手立てのひとつになるのではないかと考えています。

MESHを使用してみた感想は?

今回の実践では、MESH GPIOブロック用電子スイッチと、3.5mmモノプラグ→ワニ口クリップ変換コードを使いました。
MESH GPIOブロック用電子スイッチ
MESH GPIOブロック用電子スイッチ
3.5mmモノプラグ→ワニ口クリップ変換コード
3.5mmモノプラグ→ワニ口クリップ変換コード
これらをMESHのGPIOブロック組み合わせることで、スイッチの代替としてMESHを使うことができます。水槽の近くのスイッチが押せなかったり車椅子で近くに行けなかったりなどがある困難さに対して、MESHの人感や動きブロックを使えることで、児童・生徒の直接体験を増やすことができる可能性が広がると感じました。

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