特別支援教育「自立活動におけるプログラミング活用」
長野県稲荷山養護学校にて、MESHなどを取り入れたプログラミング学習を実施。MESHを活用して授業を実践された学校法人西軽井沢学園さやか星小学校の校長である青木先生に、実施背景や授業展開について伺いました。
- 実践者 :青木 高光 先生
- 実践校 :長野県稲荷山養護学校高等部
- 現任校 :学校法人西軽井沢学園さやか星小学校
- 対象生徒 :高等部進学コース5名(主な障害は肢体不自由)
- 実施時間:1年間
- 使用端末 :MESHセット
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本授業の狙いは?MESHを授業に採用したきっかけは?授業の流れ・様子全体の流れ前期 様々なプログラミング体験後期 micro:bitを活用したプログラミング体験作品例自動おみくじ装置エアギター今回授業でMESHを使用してみた感想は?参考
本授業の狙いは?
「これまで様々な支援機器やICTツールが、障がいのある子と世界をつなげてきました。プログラミングも応用の仕方を工夫することで、世界をつなげるツールとなりえます。そこで、実践時は、高等部進学コースで『自立活動』を軸に『プログラミング』を取り入れていました。」
MESHを授業に採用したきっかけは?
「個人的に、プログラミングは、自己理解や環境改善への意欲付けと大変相性が良い、と考えています。パソコンの画面の中『だけ』で変化が起こることで満足するのではなく、プログラミングと環境をつなぐ中間的存在としてMESHは学習の相性が良いと感じていたので、授業に取り入れることとしました。」
授業の流れ・様子
全体の流れ
時期 | 内容 |
前期 | 様々なプログラミング体験 ・Scratch Jr ・ブロックリーゲーム ・Robo Blocks ・MESH |
後期 | micro:bitを活用したプログラミング体験 |
前期 様々なプログラミング体験
まずはScratch Jr.、ブロックリーゲームなどのブロックコーディングを用いて、プログラミングの基礎を学びました。
Scratch Jr.とは?
プログラミングの基礎の基礎を学ぶためのビジュアル・プログラミング言語です。タッチ操作でブロックを組み合わせるだけで、画面のキャラクターを動かすことができます。
スクラッチジュニア - ホーム (scratchjr.org)
ブロックリーゲームとは?
ブロックリーゲームとは、Googleが開発したプログラミング学習教材です。
ブロックリー・ゲーム (blockly.games)
その後、Robo Blocks、MESHを用いて、物理的実体のコントロールに目を向けて行きました。特にMESHは画面上で完結するプログラミングと環境をつなぐ中間的存在として活用しました。
Robo Blocksとは?
Robo Blocksは子どもたちの手元にあるパソコンやタブレットのブラウザでそれぞれプログラミングし、画面内のバーチャルロボットでプログラムを確認することができるシステムです。またPepperを実際に動かすこともできます。
Robo Blocks | Pepper(ペッパー)社会貢献プログラム | ソフトバンクロボティクス (softbankrobotics.com)
MESHの良さは、
- 1タグ1機能であること
- ビジュアルプログラミングのパーツ構成がわかりやすく、iPad上での設定も容易であること
- 様々な活用アイディアがわきやすく、サンプルも真似しやすいこと
といった点です。
前期の段階では、プログラミングで「環境を変えていくこと」を重視していました。PCやタブレットの中で完結していた第一段階から、Robo Blocksを用いて現実世界の中で「存在感」を持って動くことを実感し、MESHを用いて日常的に使っているものと組み合わせて自分の生活を「便利」にできることを学ぶことができました。
後期 micro:bitを活用したプログラミング体験
まずは前期にMESHで学んだ音や光のコントロール、各種センサー機能、外部からのインプットアウトプットなどが、micro:bitで動かせることを学びました。そこから、micro:bitを活用して好きなメロディーを作ったり、しゃくとり虫ロボットを作ったりすることができました。
作品例
MESHで作成した学園祭での演し物を2つ紹介します。
自動おみくじ装置
GPIOブロックでモーターを制御して、おみくじ装置を作りました。
エアギター
人感ブロックを使って、曲が流れるエアギターを作りました。
今回授業でMESHを使用してみた感想は?
「MESHを通して、プログラミングが身の回りの環境を変える可能性があることを伝えることができました。特に肢体不自由児は、プログラミングによって自分の体の不自由さを補うことができるものであることを学んでいたと思います。この学びは、タブレットから飛び出して、身の回りの物とプログラミングを組み合わせることができる、MESHを活用したからこそだったと考えています。」
参考
実践校である長野県稲荷山養護学校公式サイト
昨年度まで青木先生がセンター長を務められていたICT・ATリソースセンター公式サイト
現在青木先生が校長を務める、学校法人西軽井沢学園さやか星小学校公式サイト
青木先生が運営されている、NPO法人ドロップレット・プロジェクト公式サイト
青木先生がアドバイザーを務める、学校DX戦略アドバイザー事業ポータルサイト