「できた!」が、明日をつくる ~ 少年院におけるプログラミング×課題解決型教育の実践と成果

2024年度に実施した少年院におけるIoTブロック「MESH」を活用した教育プログラム開発の実施結果と第三者評価を公開しました。
報告書イメージ(抜粋)
報告書イメージ(抜粋)

概要

本プログラムは、ソニーのIoTブロック「MESH™(メッシュ)」を教材とした課題解決型の学習を通じて、在院者の自己効力感や問題解決力を高め、出院後の選択肢拡大を目指すものです。
また、単なるプログラミング教材にとどまらず、問題解決力や他者との協調・協働といった、より広い視点で課題に取り組むためのスキルを育む教育的価値を提供します。プログラミングやデジタル技術に不慣れな指導者や受講者でも実施可能な設計で、誰もが参加しやすい環境が整えられています。
さらに、社会的孤立を抱える若者や子どもに対する教育や体験の格差を解消する社会的な価値も持っていると考えます。
今回、特定非営利活動法人ソーシャルバリュージャパンによる本プログラムにおける社会的なインパクト評価を行い、在院者・教官双方において定量・定性分析の両側面から本カリキュラムがある程度有効であることが確認されました。
模擬授業を実施した少年院を対象に行ったアンケートでは、在院者においては「多角的視点の模索」や「相互支援の実践」など、複数の項目において顕著な向上が見られました。法務教官においては、課題解決力の育成は49人、コミュニケーション力の育成は43人、協働力の育成は44人が肯定的な評価を付け、主体性を引き出す指導法や多様な学習体験が有効であると確認されました。
 

授業による学習効果の分析(授業前後の変化)

在院者への授業前後のアンケート結果 ※四件法によりスコアを評価(4が最も肯定的、1が最も否定的)
 
授業前後の平均スコアを比較して、特に顕著な向上が認められた項目は以下のとおりです。
  • 多角的視点の模索:15.2%向上
  • 相互支援の実践:13.0%向上
  • 課題解決プロセスへの実践:9.7%向上
  • 言語化能力:9.1%向上
また、全12指標の平均スコアは3.10(事前)から3.29(事後)へと向上しました。詳細は報告書をご確認ください。

報告書のダウンロード

報告書表紙
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以下のファイルをダウンロードしてください。
 

今後について

本プログラムの継続的な提供と柔軟な指導体制の整備について、法務省とパートナーであるArc&Beyondと2025年度もサポートします。法務省をはじめとする関係機関とのさらなる連携を深め、将来的には出院後やさまざまな社会的孤立を抱えた若者の活躍を推進し、これらの取り組みで得られた知見を一般教育や特別支援環境で応用していきます。

関連情報

教育プログラム開発の実施状況

  • 2024年9月 MESH教材およびプログラム設計
  • 2024年11月 法務教官向け研修および模擬授業を開始
  • 2025年3月 教育カリキュラム・教材を法務省に納品
  • 2025年4月 全国の少年院でプロジェクトの実施を開始
 

少年院でのプログラミング教育の様子

 

少年院でのプログラミング教育に関する取り組みのプレスリリース(2024年11月22日公開)

ソニーマーケティングがArc&Beyondと連携し、少年院のプログラミング教育等に関する取り組みを開始 - 出院後の選択肢を広げ、再非行防止を目指す取り組み - URL: https://www.sony.jp/professional/News/newsrelease/20241122/